2018年9月– date –
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小説
『八甲田山死の彷徨』新田次郎
集団とは時に怖ろしいものである。集団としての判断が間違いであっても、その判断を正すことができるのは集団だけであり、決して個人ひとりによって止めることはできないからである。 日露戦争前夜に実施された八甲田山の雪中行軍遭難事件について、その出... -
言葉
『怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか』黒川伊保子
名前があるから、その物体は「怪獣」となる。 タイトルを見て思わず、そうわたしも同じ疑問をもったことがある、と感じた方は多いのではないでしょうか。ゴジラ、キングギドラ、ガメラなど、怪獣の名前はガギグゲゴのつく名前が多いです。ガギグゲゴに限ら... -
小説
『博士の愛した数式』小川洋子
数学美に魅せられた人の、その顔のうつくしさ。 数学や数式を素材にした小説と聞くと、苦手意識が働く人もいるかもしれませんが、本書は難しい数学というよりも、思わず興味を惹かれる数や数式の話がちりばめられています。ですから決してとっつきにくいと... -
仕事・ビジネス
『どこでも誰とでも働ける ― 12の会社で学んだ”これから”の仕事と転職のルール』尾原和啓
自分を分析できていれば、どんな場所でも活躍できる。 Google、マッキンゼー、リクルートなど12回の転職を経験した著者だからこそ、転職に関する内容が説得力をもって伝わってきます。具体的な図や業務のやり方から、仕事への関わり方全般に至るまで、広く... -
子育て
『きみは赤ちゃん』川上未映子
きみがここにいる。そのすべてに「ありがとう」といいたい。 著者の出産から子育てまでを綴った抱腹絶倒かつ涙なみだのエッセイです。 子どもを産む、子どもが生まれる、子どもを育てる、子どもが育つということは、本当に本当に大変な出来事であり、また... -
登山・ハイキング
『ドキュメント 御嶽山大噴火』山と渓谷社 編
山はとてつもなく大きい。雄大さと、狂暴さと。 2014年9月27日11時52分、御嶽山は突如大噴火を起こしました。58名もの方が命を落とすという、大変痛ましい火山災害となりました。噴火の映像や生還者の証言などから、火山の怖ろしさを記憶されている人も多... -
言葉
『オトナの言葉の愉しみ方』阿刀田高
ひと味ちがうオトナは、言葉の愉しみ方を知っている。 著者の阿刀田高氏は本当に言葉が好きなのだと思います。本書を読めば、それを感じ取ることができるでしょう。 五つの章から成り、さまざまな角度から言葉、特に日本語について迫っています。私が好き... -
神話・伝承
『眠れないほど面白い『古事記』』由良弥生
月並みな表現ですが、ドラマよりも面白い。 日本最古の書物といわれる『古事記』のエッセンスを抽出し、大変わかりやすく再現した一冊です。 日本創世の神々から天皇まで、神話と歴史的事実とが融合した物語が展開されます。そこには神聖なるものだけでな... -
言葉
『井上ひさしの日本語相談』井上ひさし
当たり前だからこそ、出てくる楽しい疑問の数々。 世界の言語の中で、日本語ほど魅力的な言語はそう多くはないのではないでしょうか。普段当たり前に話している日本語ですが、改めて考えれば考えるほど、なぜという疑問がいろいろと湧いてきます。 本書は... -
哲学・思想
『基礎講座 哲学』木田元 / 須田朗
本書をフィルターとして、「哲学は難しい」から「哲学は難しくない」に変わる。 哲学という学問は、初学者にとって勉強したいと思ってもどこからどのように勉強していいかわからないものです。西洋哲学、東洋哲学、あるいは古代哲学から現代哲学という分類... -
囲碁・将棋・チェス・麻雀
『棋士という人生 ― 傑作将棋アンソロジー』大崎善生 編
人生は一度きり。棋士という人生も一度きり。 プロ棋士とはいったいどういう存在なのでしょうか。 人生を賭けて盤面に向かいます。結果勝つ者もいれば、敗れる者もいます。厳しい世界といえば、非常に厳しい世界です。だからこそその人生は、大変密度の濃... -
短歌・俳句・詩
『俳句のユーモア』坪内稔典
季語は大切だ。でも、もっと自由に楽しくつくることが、俳句の真髄だ。 ユーモラスな俳句をつくることで知られる著者が、俳句の魅力を存分に語った一冊です。『俳句のユーモア』という題ですが、俳句の成り立ちや革新運動、句会についてなど、ユーモアに限... -
笑い・ユーモア
『ブラック・ジョーク大全』阿刀田高
ブラックジョークの鋭利さがきっとやみつきになる。 ジョークの世界もいろいろとあるものですが、本書はその中でブラックユーモアに特化したジョークを集めたもので、まさにブラックジョークの決定版です。 ジョークは本来読んで楽しいものですが、そこに... -
短歌・俳句・詩
『今はじめる人のための短歌入門』岡井隆
入口を開けなければ、その奥深さを知ることはできない。 短歌人口は俳句人口に比べると少ないかもしれませんが、歌人や短歌愛好者は相当数存在します。なぜこれほど人を惹きつけるのでしょうか。三十一音という詩型の魅力に気づいてしまうと、一気にのめり... -
言葉
『犬は「びよ」と鳴いていた』山口仲美
犬 ≠ わんわん。 本書の副題は「日本語は擬音語・擬態語が面白い」。二部構成で、第一部「擬音語・擬態語の不思議」と第二部「動物の声の不思議」から成ります。 著者が擬音語・擬態語に興味をもつことになったきっかけが、タイトルにもなった犬の鳴き声で... -
哲学・思想
『孫子の兵法がわかる本』守屋洋
勝負に勝ちたければ、『孫子』を読め! 経営者で『孫子』を愛読している人の数は少なくないでしょう。 『孫子』は紀元前5世紀ごろに中国で成立した兵法書ですが、現代の仕事や生活において十分通じる内容を含んでいます。そのあたりが経営者に好まれる所以... -
仕事・ビジネス
『図解・最新 難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』山崎元 / 大橋弘祐
実りの多い資産形成を目指すなら、いますぐ、始めるしかない。 高齢化が進む中、公的年金の制度に不安を抱く人は多いと思います。将来年金はもらえるのか、年金だけで生活できるのか・・・。足りない分は、自分で資産を形成していかなればならない時代がや... -
人生・生き方
『カンの正体 ―「直勘力」で逆境に強くなる』桜井章一
欲張りすぎれば何かを失う。手放せば何かを得る。 著者は、麻雀の代打ちで20年間無敗の経歴をもつ「雀鬼」として知られています。 カンとはなかなかとらえどころのないものですが、そのカンとは何か、カンで判断することの大切さに迫った一冊です。 常識や... -
随筆・エッセイ
『ひとり暮らし』谷川俊太郎
言葉とともに暮らし、言葉とともに眠る。 詩人の生活とはどんなものか気になる方は多いと思います。詩集からだけではわからない、詩人の生活の一端を本書はのぞかせてくれます。 構成は大きく3章。新聞や雑誌に掲載されたショートエッセイを集めた「私」、... -
人生・生き方
『よく生きる』岩田靖夫
さらけだすことは、よく生きるための秘薬。 哲学に精通する著者が、古代ギリシアの哲学を中心に「よく生きる」とは何かを問うている一冊です。 章立ては「幸福」「他者」「神」「社会」の四章。生きる上で「よく」生きたいと考えるのは自然であります。し... -
短歌・俳句・詩
『鈴を産むひばり』光森裕樹
一度しかない人生に、ひたすらに短歌が貼りついてくる。 短歌を読む喜びはどこにあるのでしょう。 そのひとつは自分の認識の範囲外から新たな認識がもたらされる瞬間に出合えることでしょう。 著者は第54回角川短歌賞を受賞した歌人で、その作品には理と情...