書評– tag –
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短歌・俳句・詩
『鈴を産むひばり』光森裕樹
一度しかない人生に、ひたすらに短歌が貼りついてくる。 短歌を読む喜びはどこにあるのでしょう。 そのひとつは自分の認識の範囲外から新たな認識がもたらされる瞬間に出合えることでしょう。 著者は第54回角川短歌賞を受賞した歌人で、その作品には理と情... -
教育・学習
『不勉強が身にしみる ― 学力・思考力・社会力とは何か』長山靖生
気づいたときが遅かったかもしれない。でも、手遅れではない。 学生時代にもっと勉強しておけばよかった、などと感じることは一度や二度ではありません。なぜあんなにも勉強できる時間もあれば、勉強できる環境にもいるのに真剣に取り組まなかったのか? ... -
言葉
『すごい言葉』晴山陽一
あなただけの「すごい言葉」を探す幸せ。 「言葉にはパワーがある」、著者はそう語っています。 あまり知られていない言葉ではあるけれども、パワーを持った323の言葉がこの一冊に収められ、どの言葉から読んでもいい構成になっています。著者は英語にも精... -
登山・ハイキング
『登山の哲学』竹内洋岳
もっとも宇宙に近い14の頂を知る人間の哲学。 著者の竹内洋岳氏は、日本人として初めて8000メートル峰全14座の登頂を成し遂げた人物です。しかしその過程は決して順調なものではありませんでした。 14座登頂に至る途中には、雪崩による300メートル大落下に... -
科学・サイエンス
『視覚世界の謎に迫る』山口真美
いま私が見ている「あなた」は本当に「あなた」なのだろうか? 網膜で結ばれた像が人間が見ている世界ということになりますが、網膜は二次元なのにどうして三次元の世界が見えるのか? このような問を始めとして、本書は視覚に関わる認識、空間、そしてメ... -
囲碁・将棋・チェス・麻雀
『勝負心』渡辺明
勝負という甘美なひびき。単調な毎日にひびかせてみよう。 史上四人目の中学生棋士として輝かしいデビューを果たした渡辺明。羽生世代のひとつ下の世代では、群を抜いてその活躍が目覚ましいものがあります。 勝負に対する考え方は理的というかドライとい... -
科学・サイエンス
『天才は冬に生まれる』中田力
あなたは、冬に生まれましたか? ニュートンは12月25日、コぺルニクスは2月19日、アインシュタインは3月14日、ノイマンは12月28日のように、天才といわれる人物は冬に生まれています。 本書はタイトルが何より魅力的です。全11章において、天才たちの生涯... -
歴史・地理
『マヤ文明 ― 密林に栄えた石器文化』青山和夫
謎といわれる文明をつくりあげたのは、人。 ピラミッド、天文学、暦、石碑・・・。マヤ文明は私の憧れでした。いつかメキシコに行ってみたいと思い、2012年その願いが叶いました。訪れた遺跡チチェン・イツァの神殿ピラミッドを見たときの感激はいまも忘れ... -
哲学・思想
『哲学ってなんだ』竹田青嗣
哲学者でなくとも、哲学できる。 ジュニア向けに書かれた入門書でありながら、奥が深い。私のような哲学を知らない者にとっては、哲学の入口へ導いてくれるこのような書が非常にありがたいものです。 著者と哲学の出会いから始まり、哲学と宗教、哲学のパ... -
囲碁・将棋・チェス・麻雀
『長考力 ― 1000手先を読む技術』佐藤康光
より深く、もっと深く、一手でも深く 深い読みに定評のあるプロ棋士・佐藤康光は「1秒間に1億と3手読む男」と称されています。若手のころは、羽生善治らとともに同じ研究会で技を磨きあっていたトップ棋士のひとりです。 将棋の一手というのは、直感でひら... -
クイズ・パズル
『ポール・スローンの札束を焼く強盗(ウミガメのスープ③)』ポール・スローン+デス・マクヘール
広げていけば、やがて解にたどりつく。 水平思考推理ゲームは「LTP:Lateral Thinking Puzzles」と呼ばれるものです。 推理や論理を駆使し、思考を巡らして問題の解答を見つけていくこと、その過程が面白いのです。解答をすぐ見たくなりますが、解答に至る... -
クイズ・パズル
『大人のための名作パズル』吉田敬一
ひらめきが訪れる瞬間が癖になる。 パズルといっても、その種類は様々です。本書では、クロスワードパズル、論理的パズル、計算パズル、図形パズル、数独・ナンプレ、ジグソーパズル、ルービック・キューブ、その他の知恵の輪パズルなどと分類紹介していま... -
随筆・エッセイ
『僕は人生についてこんなふうに考えている』浅田次郎
人生を肯定すれば、人生について語ることができる。 人生に対する考え方は人それぞれです。 また自分の人生に対する考え方と、他人の人生に対する考え方は微妙に異なるかもしれません。自分とは違う人がどのように人生について考えているかは、とても興味... -
哲学・思想
『思考の整理学』外山滋比古
思考が整理されれば、さらなる思考を求めてしまう。 著者はあとがきでこう述べています。 だいたい、思考とか、思考の整理について、かんたんに方法を教えることは困難であると思っている。 そう、この本は思考の整理のハウツー本ではありません。読者が自... -
仕事・ビジネス
『ビジネス版悪魔の辞典』山田英夫
定義の仕方で、ビジネスは見え方が変わる。 アンブローズ・ビアスの名著『悪魔の辞典』のアイディアを基に、日本のビジネス現場で起きている様々な事象をわかりやすく説明する目的で書かれたものです。 人事、組織、教育など多岐にわたる分野の用語が多数... -
囲碁・将棋・チェス・麻雀
『不屈の棋士』大川慎太郎
コンピュータ将棋を見たいんじゃない。棋士対棋士の矜持ある将棋が見たいんだ。 AIの発達により、将棋のコンピュータソフトがプロ棋士を負かす時代がやってきました。400年以上の歴史を持つ将棋界にとっては、まさに今が転換点ともいえるでしょう。 プロ棋... -
評論・研究
『沈黙の春』レイチェル・カーソン(青樹簗一訳)
自然が沈黙するとき、人類は生き残ることができるのだろうか。 環境問題について考えるとき、避けて通れないのが本書であります。有機塩素系の殺虫剤DDTの危険性を詳細に述べています。 タイトルの「沈黙」とは、鳥が啼かなくなった「沈黙」を指します。殺... -
笑い・ユーモア
『ウケる技術』小林昌平 / 山本周嗣 / 水野敬也
ウケる人は、ウケる術を学んできた人たちです。 いつも周囲を笑わせる、いわゆる「ウケる人」に憧れたことはないでしょうか。 「ウケる」とはセンスや能力ではなく、「技術」で磨くことができるというのが本書のスタンスです。 40の「ウケる技術」と、8つ... -
哲学・思想
『逆説思考 ― 自分の「頭」をどう疑うか』森下伸也
立つ向きを180度変えてみる。 「逆説思考」とは聞き慣れない用語ですが、著者は「通常の価値観の一面性を暴露し、それを反転させてしまう思考のスタイル」と定義しています。 常識・固定観念にとらわれると、通り一辺倒な考え方しかできなくなりますが、そ... -
哲学・思想
『こころの処方箋』河合隼雄
「わからない」は、「わかる」に劣るわけではない。 こころに効く薬はなくても、こころに効く文章はあることを本書が示してくれます。全55章のそれぞれが、疲れたこころに沁みいってきます。 「人の心などわかるはずがない」「やりたいことは、まずやって... -
子育て
『問いつめられたパパとママの本』伊丹十三
素直で素朴な質問であればあるほど、大人を悩ませる。 子どもの質問はなぜああも難しいのでしょうか。答えに窮するような鋭い質問が投げかけられた経験は、多くの方がお持ちでしょう。でも子どもは疑問に思ったことを素直に問うているだけなのです。 本書...