小説

小説

小説

『八甲田山死の彷徨』新田次郎

日露戦争前夜に実施された八甲田山の雪中行軍遭難事件について、その出来事を知らない人は少ないのではないでしょうか。ただし200名近い多くの死者を出した悲惨な出来事としては知っているが、その詳細までは知らない人もいると思います。本書は、八甲田山で一体何があったのか、どうしてこのような行軍を行わなければならなかったのか、また関係者のそれぞれの心情はどのようなものだったのかを詳細に克明に描いています。行軍の様は、自分が雪山にいるようなリアルさがあり、どんどんページをめくってしまいます。山の恐怖、判断の是非、組織の人間関係など、考えさせられることの多い物語です。
小説

『博士の愛した数式』小川洋子

数学や数式を素材にした小説と聞くと、苦手意識が働く人もいるかもしれませんが、本書は難しい数学というよりも、思わず興味を惹かれる数や数式の話がちりばめられています。ですから決してとっつきにくいというのではなく、むしろ数や数式に興味を覚えることでしょう。例えば、「28」の約数をすべて足すと28になる(28=1+2+4+7+14)ことなど、数の神秘を感じずにはいられません。記憶力を失った博士をめぐるストーリーですが、数と博士の展開が縦横に絡み合い、何とも味わい深い物語となっています。本書は第一回本屋大賞を受賞した作品です。
小説

『ショートショートの広場』星新一編

星新一ショートショート・コンテストの入選作品を集めた、ショートショートの作品集です。コンテストの作品であるため、それぞれの作品の書き手はプロではありませんが、星新一の選によりレベルの高い作品が掲載されています。『ショートショートの広場』シリーズは20巻まで続き、その後『ショートショートの花束』と改名されています。どの作品もスキマ時間に読めるので、ちょっとした移動時間に最適です。
小説

『冬山の掟』新田次郎

表題作「冬山の掟」の他、「地獄への滑降」「霧の中で灯が揺れた」「遭難者」「遺書」「おかしな遭難」「霧迷い」「蔵王越え」「愛鷹山」「雪崩」の山岳短編十編が収録されています。登山ブームの昨今、一歩間違えば山は恐ろしい姿を見せることを改めて感じさせてくれる一冊です。山を舞台とした、山を愛するが故に下される個々人の判断はどこか正しくどこか危うさをまとっています。山と人は切っても切れない関係にあると思います。
小説

『満願』米澤穂信

表題作「満願」の他、「夜警」「死人宿」「柘榴」「万灯」「関守」の推理短編小説六編が収録されています。第27回「山本周五郎賞」を受賞しており、「2015年版このミステリーがすごい!」他一般読者からも多くの支持を得ています。それぞれに舞台や登場人物の個性に違いがあり、六編いずれも鮮やかな展開と、興味深い人間模様を描いています。
小説

『戻り川心中』連城三紀彦

表題作「戻り川心中」の他、「藤の香」「桔梗の宿」「桐の柩」「白蓮の寺」と、花にまつわる推理小説五編が収録されています。連城三紀彦氏の文章は読んでいてとても心地よい。表題作は1981年「日本推理作家協会賞(短編部門)」を受賞している作品です。トリックを超えた感嘆の読後感を味わえます。
スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました