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彼の演じるマジックは、こころの奥底のわずかな水たまりにつくられるやさしくも忘れがたい波紋のようだ。
子どものころ、マジシャン（手品師）に憧れた経験はないでしょうか？ 私が忘れられないのは町内会で見せられたロープマジックです。ハサミでチョキチョキとロープを切ったのに、フッと息を吹きかけると、切れたはずのロープが元通りつながっているではありませんか。いま思えばそれほど難しいトリックではなかったのかもしれませんが、子ども心にとても感心したのを覚えています。
さて本書は、講師としても定評のあるマジシャンゆうきとものマジック作品集です。内容は基礎的な事柄についても説明がありますが、入門書というよりもどちらかといえば、ある程度マジックに親しんでいる人が読むのにふさわしい本でしょう。カードマジックとコインマジックを中心に解説してあり、優れた彼の作品に触れることができます。本書のいいところは、演技のDVDが付いている点です。本当にこのDVDを見るだけで価値があるといいますか、何度でも見ていたくなるような素晴らしい演技の連続です。特に「超絶コイン！」という題のコインマジックは必見です。たとえ自分がマジックを披露しないとしても、見ているだけで何ともいえない満足感に満たされます。
