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あなたの生き方・考え方、凝り固まっていませんか?
芥川賞作家として知られる著者の初めてのエッセイ集です。著者は臨済宗妙心寺派の僧侶でもあり、本書は小説家兼僧侶の持ち味がいかんなく発揮された一冊です。心地よい文章と、生や死についてやさしく説いてくれる仏教の世界が、ゆるやかに融合され、読み手を誘います。
受け容れることは同ずることではなく和することだ。(「一隅を照らす」)
自分がどこで何をして暮らしていくのか、そのことに揺らぎのない確信がもてれば、たいがいのことは愛でることができると禅は考える。(「バンザイ」)
志が行動を決め、行動が習慣を生む。人は感情や理性ではなく、じつはこの習慣によって動くから、習慣はやがてその人の品性を作ることになる。人の運命を開いたり動かしたりするのは、この品性ではないだろうか?(「禅的安心の作法」)
人生の核心を突く言葉が所狭しと登場します。そのほかエッセイのタイトルを見てみると、「めでたくもあり めでたくもなし」「僧侶が長生きするワケ」「冥土に、おみやげは不要です」など、興味を惹く題が並びます。自分自身と、また社会と向き合うとき、この一冊に書かれている内容がきっとヒントになるでしょう。