『両手いっぱいの言葉 ― 413のアフォリズム ― 』寺山修司

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ことばは時に劇薬である。特に寺山修司のことばは!

演劇、映画、詩、俳句、短歌、評論、写真など多彩な才能で知られる寺山修司。彼の残した多くの言葉がこの一冊に収められています。「愛」「美」「暴力」「文明」「変身」「飛翔」「友情」「夢」など52章、計413もの寺山の言葉=アフォリズム。どこから読んでもいいですし、一日ひとつずつ読んでもいいでしょう

自分たちにしか通じない言葉をもつのが恋人同士である。 ―家出のすすめ― (「愛」)

人生には、答えは無数にある。
しかし
質問はたった一度しか出来ない。 ―誰か故郷を想はざる― (「人生」)

てのひらは、しばしば自身の曇り鏡であり、あてさきのない葉書であり、市街図であり、そして自分の個人史である。 ―黄金時代― (「私」)

夢を見すぎると、その夢に復讐ふくしゅうされる。かと言って夢も見ずに生きるのじゃ味気なさすぎる。 ―さかさま世界史― (「夢」)

引用ふたつめの言葉は、寺山の次の短歌と呼応します。

人生はただ一問の質問にすぎぬと書けば二月のかもめ ―テーブルの上の荒野―

その他、鋭い言葉の数々は、時にやさしく、時に毒をもって読み手を刺激します。「復讐」という単語が頻繁に登場するのも特徴的といえるでしょう。

巻末の「ことば友だち――あとがきにかえて」と題する文章に、次の言葉が載っています。

「名言集というのは、言葉の貯金通帳なのね」
と言った女の子がいる。そうかも知れない。 ―ことば友だち―

言葉をひとつ吸収すること、それはきっと人生を豊かにすることなのでしょう。

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