ポテトチップスの定番といえばうすしお味が思い浮かびます。
私も子どもの頃のポテトチップスの味といえば、うすしお味でした。
兄とひと袋を分け合っておやつとして、毎日のように食べていました。
うすしお味がほとんどでしたが、コンソメ味やのり塩味を知ってからは、たまに味を変えて食べていました。
それが大人になってからはなぜか、気が付けばのり塩味を好んで食べるようになり、たまにうすしお味を食べていました。
こののり塩味、実はポテトチップスの始まりだったことをみなさんはご存知だったでしょうか。
ポテトチップスで有名な「湖池屋」の創業者である小池和夫氏がポテトチップスの第一号としてこの世に送り出したのは「ポテトチップスのり塩」味だったんです。
そもそもなぜ普通の塩味ではなく、のり塩味から始まったのでしょうか。そこで今回は、ポテトチップスの販売がのりしおから広まっていった理由とその経緯についてみていきたいと思います。
ポテトチップス日本上陸
ポテトチップスと聞くとアメリカを想像される方が多いのではないでしょうか。
そしてその想像通り、ポテトチップスは第二次世界大戦後、アメリカから日本に初上陸しました。
しかも、今のような袋詰めのお菓子としてではなく、居酒屋や飲食店でじゃがいもを薄くスライスして揚げたものがおつまみのように提供されていました。
当時のポテトチップスは私たちが知っているポテトチップスではなく、手作り感に溢れ、米の代用として食されていました。
そしておつまみ系のお菓子を製造販売していた湖池屋の創業者である小池和夫氏が、池袋の飲食店でポテトチップスを食したのが初めての出会いでした。
小池和夫氏は一般家庭では食されていなかったポテトチップスのあまりの美味しさに感動したそうです。
その味を日本中に広めたいという一心で自宅のキッチンで試作を重ね、自分が食べた味を再現しようとしました。しかしなかなかその味に近づくことができず、じゃがいもも様々な品種をいくつも取り寄せては試したようです。
じゃがいものスライスの厚さや揚げ方、油の温度や時間によって味や食感も変わってくるのでとても苦労したと言われています。
どれほどの時間と労力がかかったのか、私たちの想像を絶するほどだと思います。
日本人好みの味を追求した結果
さてここで注目したいのがポテトチップスの味です。そもそも小池和夫氏が食したのはシンプルな塩味でした。
しかし、食に強いこだわりを持つ小池和夫氏は単なる塩味ではなく、日本人好みの味を追い求めました。
日本人に馴染みの深い「青のり」とキレを出すために「七味唐辛子」を取り入れて、単なる塩味に終わらない「のり塩」味のポテトチップスを開発しました。
今では内側がアルミになっている包装が当たり前ですが、発売当初は一斗缶に入れて昔ならではの量り売りをしていたそうです。
この新しい形のお菓子ポテトチップスは物珍しさと美味しさで瞬く間に広がり、大量生産するためのオートフライヤーを開発し、需要にも追いついていきました。
当時はじゃがいももアメリカから取り寄せて製造していましたが、より安全で品質の良いものを、という観点から1969年に初めて国内で契約栽培も始めました。
そんな中、かっぱえびせんで有名な「カルビー」が1970年代にポテトチップス市場に参入してライバルとなりました。
湖池屋は首都圏を中心に製造販売していましたが、カルビーは全国にシェアをもつため、一気に抜かされポテトチップスを開発した湖池屋は二番手となってしまいました。
しかし、二番手だからと諦め腐ることなく、二番手だからこそできることはないかと考え、日本人に好まれる味の開発に取り組みました。
今ではさほど珍しくありませんが「カレー」「バーベキュー」など本当に美味しいものを多くの人に食べてもらいたい、という気持ちから次々と新しい試みをしました。
確かに新しい味の開発というのは、冒険ではありますが誰もが一度は食べたくなりますよね。そしてそこで美味しい、となれば当然リピートにつながります。
消費者としては、新しい味を見つけると何かワクワクして嬉しくもなり、楽しみの一つになりますよね。
まとめ:ポテトチップスの始まりは「のり塩」味だった? 湖池屋の躍進!
ポテトチップスといえば、「湖池屋」「カルビー」が大手ですが、今でも「ライバルは他企業ではなく、自社」と考え、妥協することなく美味しいものの開発を続けているそうです。
その追求から今までのポテトチップスよりは、少し高めですが「KOIKEYA PRIDE POTATO」を販売して勝負に出ています。
ひと昔前までは、食に関して「安くて量が多いもの」が求められていましたが、最近では「少し高くても本当に美味しいもの」が求められるようになりました。
同じ「のり塩」味でも「濃厚のり塩」味から「神のり塩」味になり、原料のじゃがいもや海苔は天候や季節により変化があるため、日々、開発に取り組んでいる企業努力には頭が下がりますね。
SDGsの取り組みの一つとして包装にも気を配り、紙製品の包装も作り始めているそうです。
「ポテトチップスは体によくない」というイメージがありましたが、少しでも健康に良いイメージをもってもらうため、現在では体によりポテトチップス作りに取り組んでいるそうです。
60年の歴史を持つ「湖池屋」のポテトチップスの今後にこれからも期待したいと思います。