名古屋の喫茶店といえば、朝早くから多くの客であふれています。それもそのはず、モーニングの文化がとても盛んなんです。
コーヒー1杯でトーストはもちろんのこと、ゆで卵やサラダ、グラタンから果物やデザートまで種類が豊富でボリュームのあるモーニングセットが付いてきます。
早起きが得意な方は、コーヒー1杯の料金でお友達とゆっくり出来るのでこの上ない至福のひとときですね。
今でこそ、このようなモーニングセットが当たり前の時代となりましたが、昔はコーヒー1杯で豆菓子はサービスの一つとして付いていました。
関東や関西など他の地域ではコーヒーを注文してもコーヒー1杯だけのところがほとんどだと思います。
このコーヒー1杯に豆菓子が付くサービスは名古屋独特の文化でもあります。
では、なぜこのような文化が生まれたのでしょうか。
そこで今回は、名古屋の喫茶店で豆菓子が付いてくる理由について見ていきたいと思います。
コーヒー1杯に豆菓子がつくのは、ピーナッツ会社の販売戦略だった!
そもそもどうして名古屋の喫茶店では、コーヒー1杯で豆菓子がついてくるのでしょうか?
創業48年になる名古屋駅前の「リヨン」という喫茶店の店主に豆菓子が付いてくる理由を尋ねてみても、店主がお店に立った頃には、すでに豆菓子が当たり前のようになっていたので理由は分からないとか・・・。
名古屋に来ていた他県の観光客は、コーヒー1杯で豆菓子のサービスがあることに驚いていました。
別の喫茶店「比呂野」にも豆菓子について聞いてみると、ここでは午後3時から7時まではアフタヌーンサービスとして豆菓子かプチケーキかを選べるというのです。
その他、豆菓子は当然のサービスとなりますが、クッキーやビスケットなどを付けてくれる喫茶店もあります。
ちなみに新潟出身のご夫婦が経営されている名古屋にある「喫茶 新潟」ではコーヒーのお供に「ハッピーターン」が付いてきます。
名古屋発祥のコーヒー店で現在は全国展開している「コメダ珈琲店」でも、豆菓子が付いてきますね。
コーヒー1杯のつもりがちょっとした「おまけ」が付いてくるのはお得感と共に、店主の温かさを感じ、よりホッとしますね。
そしてこの記事の真髄、なぜ、コーヒーに豆菓子がつくようになったのでしょうか。
それはなんと名古屋のピーナッツの製造販売会社が仕掛け人だったというので驚きです。
仕掛け人とも言われる名古屋にあるピーナッツ製造販売会社の「ヨコイピーナッツ」。
なんとかピーナッツを売るためにピーナッツを「コーヒーのお供」にするという考え抜いた末の案だったそうです。
そしてその案を最初に取り入れたのが名古屋の「ひので」という喫茶店です。
他店との差別化になるだろうと取り入れたのも束の間、あっという間に他の喫茶店も豆菓子サービスを取り入れ、結局差別化とまでは至らなかったようです。
最初に取り入れた「ひので」にとっては何の得にもならなかった話になりますが、提案した「ヨコイピーナッツ」としては売上も伸びて販売戦略が成功したといえるでしょう。
塩味の豆菓子がコーヒーと相性抜群
そして他にも名古屋のこの文化には驚くべき事実があったのです。
それは「コーヒーの味」です。
名古屋でも特に古いお店では、コクがあり苦味の強いコーヒーを出すお店が多いんです。
このコクがあり苦味の強いコーヒーは、塩気の効いた「豆菓子」がピッタリと相性抜群で評判になりました。
今でも他県の人が名古屋の喫茶店でコーヒーを飲むと、「ドロドロしている」というほどのコクを感じる人が多いようです。
ではなぜ、名古屋のコーヒーはそれほどコクがあるのでしょうか。
そこには名古屋の食文化に理由がありました。
いわゆる「名古屋めし」というものをご存知でしょうか。
赤味噌の「味噌カツ」「モツ煮込み」「味噌煮込みうどん」・・・などこってりとした味付けのものが多いですよね。
そしてコーヒーというのは食後に飲む習慣があります。
お口直しの1杯ということもあり、薄いサラッとしたコーヒーではお口直しにはなりません。
味の濃い「名古屋めし」に勝つには、それを上回るコクと苦味のあるコーヒーということになります。
名古屋に本社がある有名な「春日井製菓」でも、コロナ禍になったここ数年で豆菓子の需要が増えているといいます。
外出を控えるようになった今、お酒はもちろんのこと、コーヒーも家で飲む、いわゆる「家飲み」が増えました。
それに伴い、お酒やコーヒーのおつまみとして豆菓子やあられなどのちょっとしたお菓子の売上が伸びたようです。
飲食店にとっては売上を減らすだけの悪要因の「コロナ」ですが実は売上が伸びる企業もあるということですね。
まとめ:名古屋の喫茶店でコーヒー1杯に豆菓子がつく理由
いかがでしたでしょうか。
名古屋の喫茶文化はなかなか面白いですよね。
私は名古屋のお隣の岐阜出身なのでモーニング文化はすでに浸透しており、コーヒー1杯の注文で、トーストやゆで卵とサラダ、バナナなどの果物がついてくるのは普通だと思っていました。
そしてモーニングの時間帯ではなくても、コーヒーに「豆菓子」は付きものでした。
その「豆菓子」がピーナッツ製造販売会社の販売戦略だったとは驚きでした。
しかもコーヒーの味まで名古屋には独特のコクと苦味があり、ピーナッツとの相性抜群とは、知らない方も多かったのではないでしょうか。
それぞれの県では食文化が異なり、知れば知るほど驚きもありますがとても興味深いですよね。
今度名古屋を訪れたときには、「豆菓子」をつまみながらコーヒーをじっくり味わいたいと思います!