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「ない」と「ある」。実は同じことなのです。
中国の思想家”老子”の思想を、老子と少女の対話によって表現した一冊です。合間には、陰の声が割って入り、補足をしてくれます。
思想というと非常にわけがわからなくなることが多いのですが、本書は対話形式ということもあり、読んでみようかなという気にさせてくれます。ただし、内容は何とも奥深い。一冊を読み終えても、わかったような、わからないような、むしろわからないことが読む前よりも増えたような、そんな気持ちにさせてくれます。
本書は、大きく三つの章から成り立っています。
- 「無」の章
- 「水」の章
- 「道」の章
老子の思想で、最も重要でかつ最も難しいのは「道」という概念でしょう。道とは何なのか、もちろん普段われわれが目にする道路ということではありません。道というものは非常に捉えがたいものがありますが、世界や存在に関わる概念と言っていいでしょう。老子と少女との対話でその奥深いところへ迫っていきます。老子と少女の語り口も軽妙で、読んでいて実に楽しいです。
取り上げている内容は老子の思想ですから、簡単とは言えませんが、その対話自体が具体例を伴っているため、読み終えた後にほんのわずか心が軽くなってくるでしょう。