『百人一酒』俵万智

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人の数だけ、お酒の物語。

お酒をめぐる物語は、お酒だけがそこにあるのではありません。お酒プラス「アルファ」が必ずそこにあって、初めてお酒の物語が生まれるのです。そう、この「アルファ」の部分が重要で、それによって物語はさまざまに変化していくことでしょう。この「アルファ」たとえば、友達なのか恋人なのか、あるいは山なのか海なのか、大衆酒場なのかこじゃれたバーなのか、ひとりなのか大勢なのか、悲しいのか嬉しいのか、春なのか夏なのか等々。いろんな「アルファ」にお酒があれば、もうそれは何ともいえないお酒の物語なのです。

本書には、さまざまな「アルファ」が登場します。小題を挙げてみましょう。

  • 三歳の初体験
  • バー「幻の桜」
  • 燗酒の豊かさ
  • まぼろしの泡盛
  • 偽シャンパン
  • ビールの個性
  • バーカウンター
  • 酒を讃むる歌
  • ワイン小道具
  • 海を渡る八海山
  • NYの「サケ」
  • 驚きのサケ・バー
  • 冷やしボルドー
  • 余市のめっけもん

このほかにも多くのエッセイが収められています。歌人である著者だからこそ、短歌にも触れながら、お酒の物語が展開されます。

プラス「アルファ」の部分が面白いからこそ、お酒を飲まない方にも楽しめる一冊になっています。

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