餡子にたどり着く前に饅頭の皮があるように、中身に到達する前に「見た目」がある。
「見た目より中身が大切」ということは、多くの場所で語られてきましたし、また普段の会話でもたびたび登場する内容ではないでしょうか。中身が伴っていないのに、見た目だけ着飾っても仕方がないのではないかという思いを抱いている人も多くいることでしょう。
しかし、本書のタイトルは「見た目が9割」とはっきり言い切っています。その根拠は次の実験結果によるものです。
アメリカの心理学者アルバート・マレービアン博士は、人が他人から受け取る情報(感情や態度など)の割合の実験を行い、数値として発表しています。
- 顔の表情 5%
- 声の質(高低)、大きさ、テンポ 38%
- 話す言葉の内容 7%
つまり、「話す言葉の内容」7%以外の93%が「見た目」によるということから、本書のタイトルが付けられたのです。
他人から受け取る情報は、表情や声だけでなく身だしなみや仕草といったものも影響していると著者は述べています。したがって、話す言葉の内容よりも見た目によって、他人の印象は決定されるケースが多いといえます。
冒頭の話に戻れば、見た目より中身が大切なのはもちろんなのです。ただし、いくら中身があっても、印象の決定材料として見た目がほとんどを占めるということから、見た目で悪い印象を与えてしまえば、大変もったいないということになってしまいます。中身を活かすためにも、印象の入口としての見た目には十分注意を払うべきだといえるかもしれません。
本書は「見た目」を中心に、仕草の法則、マンガの伝達力、非言語コミュニケーション、タイミング、距離感、顔色などについて章立てを行い述べています。
見た目が9割とは、すべての人に当てはまる割合とは思えませんが、見た目の重要性が少なからずあることは確かだと思います。本書は、他人を見るときのひとつの見方として、注目に値する一冊といえるのではないでしょうか。