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『読書の技法』佐藤優

読書
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ここで述べられる「技法」は表面的な技法ではない。「思考」と同義の非常に深い「技法」である。

読書をする上で、どうすればもっと効果的に読むことができるだろうか、という問いは多くの読者がもっているものでしょう。「効果的」というのは、いかに短時間で効率よく、しかも読んだ内容を理解し、忘れないということに行きつくのではないかと思います。

書店には、速読や多読のいわゆるメソッド(方法)やテクニック(技術)をまとめた本も多く見られます。それらの本が、読書において役に立つことは大いにあります。しかし本書『読書の技法』は、それら方法や技術に留まらず、「知」というものをいかに身につけるかに焦点を置いている点が、他書とはひと味もふた味も違うところでしょう。

まずは目次を見てみましょう。

はじめに
第Ⅰ部 本はどう読むか
 第1章 多読の方法
 第2章 熟読の方法
 第3章 速読の方法
 第4章 読書ノートの作り方
第Ⅱ部 何を読めばいいか
 第5章 教科書と学習参考書を使いこなす
 第6章 小説や漫画の読み方
第Ⅲ部
 第7章 時間を圧縮する技法
おわりに
特別付録 本書に登場する書籍リスト

第Ⅰ部は、具体的に読書の方法について述べています。ただし表面的な方法に留まらず、「知」を身につけるには、忘れないようにするにはどうするのかが具体的に語られます。著者は読書の方法を大きく「多読」「熟読」「速読」に分けて解説します。

「熟読」は同じ本を三回読むことが前提となっています。ただ単に通して三回読むというのではなく、メモを取りながら読んだり、結論部を繰り返し読んだり、第1読~第3読で読み方も変わってきます。

そして「速読」は、一冊を5分で読む「超速読」と一冊を30分で読む「普通の速読」に分けています。「超速読」は試し読みといってよく、書籍を次の4つのカテゴリーに区分するために行うものと定義しています。

  • 1. 熟読する必要があるもの
  • 2. 普通の速読の対象にして、読書ノートを作成するもの
  • 3. 普通の速読の対象にするが、読書ノートを作成するには及ばないもの
  • 4. 超速読にとどめるもの

著者はすべての本を最初から最後まで通読しろとはいっていません。そうではなく、人生の時間の中で読むことができる本は限られているので、読むべき本とそうでない本を見分けることが大切であると述べています。

また熟読の際には、読書ノートを作成することの重要性を説いています。ノートを作成することで、書籍の内容の定着を図るのです。したがって、読書ノート自体をきっちり作り上げることが目的ではなく、読書ノートを通して、知識を身につけることが重要なのです。

第Ⅰ部が理論編とするならば、第Ⅱ部、第Ⅲ部はその実践編というところでしょう。第5章では、世界史、日本史、政治、経済、国語、数学のジャンルを取り上げ、それぞれに具体例を示して、どのように読み進めるのかが詳しく述べられています。取り上げられる本もその本からの引用も具体的に明示され、本書を読んでいると、実際に教科書や参考書を読んで本腰を入れて勉強したくなる気持ちが強く湧いてきます。

著者が述べている読書の技法は、娯楽のための読書の技法ではありません。外交官の経歴をもち、知の巨人である著者が述べているのは、あくまでも「知」を身につけるための読書の技法です。したがって、読書そのものが目的というよりも、読書はあくまで通過手段であり、「知」を身につけることが目的であるということがひしひしと伝わってきます。

重要なことは、知識の断片ではなく、自分の中にある知識を用いて、現実の出来事を説明できるようになることだ。そうでなくては、本物の知識が身についたとは言えない。

この言葉は核心をついています。普段本を一冊読み終えると何となく読んだ気になりますが、実際は自分で説明できるようにならなければ、本を読んでもあまり意味がないということでしょう。

『読書の技法』は一度読んだだけですべてその内容を消化することは難しいと思います。この一冊こそ、読書ノートを用いて「熟読」すべき一冊だと思います。

今からでも遅くはありません。本書の内容を身につけ、本物の知識を身につけるための読書の実践へ向かいましょう。

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