人間にとって「睡眠」というのはなくてはならない重要な時間のひとつです。睡眠は心と体の疲れを回復させ、健康や美容にも大きな影響を与えます。
とにかく長く睡眠をとっていれば健康、と思いがちですが、実は年齢によって理想の睡眠時間は異なります。
一般的な睡眠時間は約7時間と言われていますが、これが理想の睡眠時間とは限りません。
目安のひとつとして言えることは、朝スッキリ目覚め、一日の活動の中において眠気や疲れがなければ、その人にとって睡眠時間は足りていると判断できます。
若い人たちは就寝する時間が遅く、高齢の人たちは就寝する時間が早くなりがちです。
高齢の人たちは就寝して体を休めている時間が長くても夜中に何度も目が覚めることが多くなるので、睡眠の質として考えると、決して良質な睡眠とはいえないこともあります。
そこで今回は、年齢別でみた理想の睡眠時間と睡眠不足や寝すぎによる悪影響についてみていきたいと思います。
年齢別で異なる理想の睡眠時間とは?
赤ちゃんは眠るのが仕事、と言われるようによく眠ります。高齢者の平均的な睡眠時間は赤ちゃんの半分ほどです。
それではなぜ、人間は年齢によって理想の睡眠時間が異なるのでしょうか。
それは脳内で体内時計をコントロールするメラトニンというホルモンが年齢とともに減少していくためだと言われています。
若い年齢では、メラトニンが多く分泌されますが、年齢とともに減少し始め、入眠から深い睡眠への移行が難しくなります。
年齢別にみた理想の睡眠時間は以下のとおりです。
(理想の睡眠時間)
新生児(0~3ヵ月) 14~17時間
乳幼児(4~11ヵ月) 12~15時間
幼児(1~2歳) 11~14時間
未就学児童(3~5歳)10~13時間
学齢児童(6~13歳) 9~11時間
10代(14~17歳) 8~10時間
若年成人(18~25歳)7~9時間
成人(26~64歳) 7~9時間
高齢者(65歳以上) 7~8時間
10代までは、成人よりも多くの睡眠時間が必要です。これは成長ホルモンが深い睡眠中に分泌されるからです。
そしてこの成長ホルモンが睡眠中に、その日に覚えた学習内容や記憶した内容を整理し、定着するためにも重要な役割を果たしています。
成人から高齢者でも7~9時間の睡眠が必要となりますが、これは深い眠りが減少し、睡眠中に何度も目が覚める傾向にあるからです。
しかし、この理想の睡眠時間はあくまでも一般的なものであり、当然のことながら個人差があります。
先ほども述べたように、自分にとっての理想の睡眠時間を計る目安はスッキリ目覚めることができるか、また日中に疲れや眠気がないかどうかなど、一日を通して良好な状態で過ごせるかどうかによります。
睡眠不足と寝すぎによる悪影響は?
年齢によって理想の睡眠時間が異なることは分かりました。睡眠不足は疲れが取れない、日中に眠たくなるなど悪影響はわかりますが、なぜ寝すぎも良くないのでしょうか。
ここでは睡眠不足による悪影響と寝すぎによる悪影響とそれぞれについて詳しくみていきたいと思います。
睡眠不足による悪影響
① 免疫力の低下
免疫細胞の分泌や活性を低下させるため、感染症やアレルギーなどを引き起こします。
② 生活習慣病のリスクの上昇
自律神経やホルモンのバランスを崩し、血圧や血糖値、コレステロール値などを上昇させるため、高血圧や糖尿病などの生活習慣病のリスクを高めます。
③ 食欲の増大と肥満の傾向
食欲を抑えるホルモンであるレプチンの分泌を減らし、食欲を増やすホルモンであるグレリンの分泌を増やすため、食事量が増えて肥満になりやすくなります。
④ 不安や抑うつの発症
睡眠不足は感情調整やストレス耐性を低下させるため、不安や抑うつなどの精神的な不調を引き起こします。
⑤ 頭痛や吐き気などの症状
睡眠不足は脳内の血流量を減らすため、頭痛や吐き気などの自律神経失調症的な症状を引き起こします。
寝すぎによる悪影響
① 生活習慣病のリスクの上昇
寝すぎは体内時計を乱し、自律神経やホルモンのバランスを崩すため、血圧や血糖値やコレステロール値などを上昇させるため、高血圧や糖尿病などの生活習慣病のリスクを高めます。
② 認知機能の低下
寝すぎは脳の活性化を阻害し、記憶力や判断力などの認知機能を低下させます。
③ 不安や抑うつの発症
寝すぎはセロトニンという神経伝達物質の分泌を減らします。また、寝すぎることによって日中の活動する時間が減り、社会的な充実感が失われることも不安や抑うつの原因になります。
④ 頭痛や腰痛などの症状
寝すぎは血液循環を悪化させ、頭部や背部に酸素不足が起こるため、頭痛や腰痛などの筋肉痛を引き起こします。
このように睡眠不足、寝すぎによる悪影響はいくつかありますが、
・生活習慣病のリスクの上昇
・不安や抑うつの発症
・頭痛などの症状
これらはどちらにしても共通していえることです。
そしてやはり重要なことは睡眠時間の長さだけではなく、睡眠の質も大切だということです。
そのためには日中は外出をして日光を浴び、適度な運動をして、夜は部屋を暗くするなど、睡眠環境を整えることも大切です。
まとめ:理想の睡眠時間は? 長く寝れば健康とはいえない?!
睡眠不足は不健康、長く眠れば健康、というものではないことが分かりました。
年齢によって理想の睡眠時間は異なり、特に成長期にある成人前の人たちには長い睡眠時間が必要です。
そして成人においても7~9時間は睡眠をとることがよいとされています。ただ、人それぞれ個人差があるため、
その人にとっての最適な睡眠時間を計るのは目覚めのよさ、日中の疲れや眠気がなければ理想の睡眠時間といえます。
そして睡眠の長さだけはなく、睡眠環境も整え、質のよい睡眠を十分にとり、健康な毎日を送りたいですね。