人生に意味があるかどうかはわからない。でも、人生に意味があるかどうか考えることができる、それは確かなことだ。
「人生に意味はあるか」
自分自身に対して、一度たりともこの問いかけをしなかった人がいるでしょうか。この問いかけをしてこなかった人は、おそらく人生が悩みもなくうまくいっているか、日々の仕事や生活に忙殺されていて自分と向き合う瞬間すら訪れないかのどちらかなのだと思います。
毎日生きていく中で、人生そのものについて考える瞬間が訪れたとき、人は普段気にしていない人生の意味を改めて考え始めてしまうものです。
そもそも人生に意味はあるのか、それともないのか、また意味があるとすればどんな意味があるのか。。。考え始めても明確な答えが用意されているわけでもなく、考えれば考えるほどわけがわからなくなってしまうという人も多いのではないでしょうか。
本書は、まさに「人生の意味」について正面から向き合った一冊といえるでしょう。パートⅠは「「人生の意味」を考える」と題して、人生の意味の有無をカウンセリングや模擬授業を通して問うています。パートⅡは「これが答えだ」という題で、宗教や文学、哲学、スピリチュアリティ、V.E.フランクル(精神科医・心理学者)等を引き合いに出しながら、人生の意味に対する答えを提示しています。そして最後の第7章「私の答え」において、著者自身が考える答えを述べています。
本書で興味深く読んだのは、第2章「模擬授業「人生に意味はあるか」」です。大学の授業の一コマとして実施されたもので、人生に意味があると考える立場と、人生に意味はないと考える立場に分かれてディスカッションで行われています。そこからは学生それぞれが考える生の声が記されています。他者が人生の意味をどのように考えているのか、具体的な事例や発言が取り上げられているため、自分の考えと重ねながら読み込んでいくことができます。当然自分の考えに合致するものもあれば、そうでないものも出てきます。でもそれでいいのでしょう。そこから「考える」ということが始まるのだと思っています。
パートⅡでは一応の答えは述べられていますが、すべて本書の内容を鵜呑みにする必要はないと思います。本書は人生の意味を考える上でひとつのきっかけやヒントをつかむ存在であればいいと思いますし、実際読み通すことで得られるものは大きいと思います。
しかし結局、人生の意味については(意味があるかないかも含めて)、自分自身で考え続けていくことが大切なのだと思います。考えても答えが出ない、それでも向き合うということが「人生の意味」においてはもっとも重要なのだと感じています。