2022年、大手コンビニチェーンの「ローソン」が「ゴーストレストラン」事業に参加することになりました。
「ゴーストレストラン」?と聞いて何を想像するでしょうか?
ネーミング通り、「お化けレストラン」?
ゴーストレストランとは、イートスペースを持たず調理スペースのみで運営するレストランのことです。
コロナ禍になり、店内で飲食することが減り、UberEatsや出前館などの宅配業者が利用される機会が多くなりました。これに伴い、調理スペースだけで調理したものを宅配してもらうレストランがゴーストレストランなのです。
これまでローソンは全国に約1万4700店舗ありますが、そのうち、約8,000店舗をすでに「まちかど厨房」として店内調理したものを提供していました。
そのローソンが今年になり、新たにゴーストレストラン事業に参加するというので、弁当チェーンとしては焦りを感じますよね。
そこで今回は、弁当チェーンに対抗して、コンビニ各社が仕掛けるさまざまな「店内調理」のコンビニ弁当について見ていきたいと思います。
ゴーストレストランと「店内調理」弁当
大手弁当チェーンと聞いて思い浮かぶのは、「ほっともっと」「本家かまどや」「ほっかほっか亭」などがあります。また首都圏では圧倒的に「オリジン弁当」が有名ですね。
そういった弁当チェーンに対抗して「ローソン」が2011年から展開している「まちかど厨房」は、朝食や昼食などピンポイントタイムで店内調理をして弁当を提供しています。
やはり購入者側としては、「店内調理」と聞くと「出来立て」「温かい」と思いますよね。
そして「どうせお弁当を食べるなら出来立てで温かいお弁当を食べたい!」と思うのは当然です。
すでに店内に設置されている揚げ物用簡単調理器具で調理した弁当をデリバリーでお届けするのが「ローソン流ゴーストレストラン」です。通常のゴーストレストランとは少し異なります。
この「店内調理」ですが、コンビニ店内で実現できた経緯には、実は私たちには知り得なかった背景があります。
それでは、どんな背景があったのか見てみましょう。
「店内調理」弁当実現の裏側は「スチームオーブンコンベクション」にあった!
コンビニの店内のかたちは、大抵長方形で簡単な造りになっています。専用の調理場所などないように思いますが、なぜ「店内調理」が可能になったのでしょうか。
セイコーマートの店内調理
北海道の大手コンビニチェーン店「セイコーマート」通称「セコマ」こそが、私たちの知りえなかった裏側を実現しました。
ここはコンビニでありながら本格的な出来立て弁当を提供できるんです。それは「店内調理」を実現すべく、魔法のような調理機器を導入したおかげなのです。
その魔法のような「調理機器」というのは、飲食店やホテルの調理場では当たり前のように使われている「スチームオーブンコンベクション」いわゆる「スチコン」というものです。
この「スチコン」。なんと1台で「蒸す」「煮る」「焼く」「茹でる」など様々な調理方法がすべて可能である夢のような万能調理機器なんです。
そして最も安いドイツ製のスチコンでも180万円はします。
しかし、茹でるための鍋、焼くためのフライパン、蒸し器、そのために必要な複数のコンロなど、すべて一台で担います。
家庭用であれば、次のようなイメージですね。
鍋、フライパン、蒸し器、コンロなどすべてを設置するスペースの余裕がないコンビニとしては、一台ですべての調理が可能となれば、スチコンを使わない理由はありません。
コンビニの店内調理本格参戦はこれから
セイコーマートとは異なり、現在のローソンの「まちかど厨房」では、実際に厨房で焼いたり煮たり調理をしているわけではありません。
ローソンでは、元々設置されているフライヤーを使い、炊きたてご飯の上に揚げたてのフライをのせる丼ものを主に提供しています。そして野菜はコンビニ店内で売られているカット野菜を使っているのです。
セイコーマート以外のコンビニでもあの魔法のような調理機器「スチコン」を使えば良いのでは?と思いますよね。
しかし大きな障害となっているのは、店員の確保と高価な調理機器の設備投資を回収できるかどうか、という点です。
当然、ローソンに続き、大手コンビニチェーンのセブンイレブンやファミリーマートも「店内調理」を考えているものの、このような理由からすぐに「スチコン」を導入できないという現状があります。
実はこの「店内調理」という形態においては様々な捉え方があります。
野菜などをカットするところから始めるファミリーレストランや、工場から送られてきた冷凍食品を温めるだけのファストフードなども「店内調理」という形態に含まれます。
コンビニでありながらお弁当チェーンとしても成功した「セイコーマート」。それは「スチコン」の導入を可能にしたからこそです。出来たての美味しさを追求した「店内調理」にこだわり、多くの人に愛される本格手的出来立てコンビニ弁当を実現しました。
この「スチコン」こそが、本格的出来たて弁当を実現する「店内調理」のコンビニ弁当、私たちの知りえなかった背景とも言えます。
まとめ:コンビニ出来立て弁当
やはり私たち購入者側としては、数多くある弁当チェーンにおいて「出来立て」の美味しさを求めますよね。
弁当チェーンやコンビニ弁当において、どこまで「店内調理」によって美味しいものに生まれ変わるのか、今後の動向も気になるところですね。
またファミレスにおいてもしかりです。どれだけ出来立てのアツアツを提供できるのか、「店内調理」と「美味しさ」をどこまで追求できるのかが最大のアピールポイントとなり命運を決めそうですね。